近年新しい技術として出てきた「ゲノム編集」について知りたいと思い関連する本を探していて、「ゲノム編集食品が変える未来 松永和紀 著 2020年」を読みました。この本を読む前に、「ゲノム編集とは何か 山本 卓著 2017年」を読み、こちらはバリバリの研究者が書いた技術の内容をより詳しく説明したものに対して、ゲノム編集食品が色々開発されている中で、それらを取り巻く状況がまとめられている本です。
著者は、元新聞社の人で今はフリーのジャーナリストの方で、技術の詳細というよりも、その技術が出てきたことによる、社会での受け止められ方、そしてその技術が実際にどのような育種が行われているのか、その将来性のいい面悪い面などがわかりやすくまとめられていました。著者自体は、農学部出身ということで新しい技術に肯定的な捉え方がされていて、それは自分の考えとも近くて読み進めやすく感じました。
遺伝子組換え技術については、今の社会では正直、まだあまりよく受け取られていないのは、納豆を買うときにいつも「遺伝子組換えでない大豆」を原料としたものが明記されているものばかりであることからもよく分かります。この「ゲノム編集」技術を使って今各国で進められている食品の品種改良では、いくつかある改変方法のうち、外部から導入された配列が残ることが無く、従来の交配による変異なのか判別することができず、作成者が申し出ないと検出できないものが使われているというのがあります。日本では、作成者が申し出るというルールになっているということで、こうしたものは海外ではまだ固まっていないということで早くから対応が考えられてきたということでした。
個人的には、遺伝子組換えに関しては専門分野であったことからも、特に抵抗はないのですが、もう少し社会の受容が進めばもっと色々と面白いものが出てくるのにと思いました。かなり昔にどなたかが行ったコメントで遺伝子組換え生物に対して、「嫌なものは嫌なんだ!」言われたことがあり、これはこの人に何を言ってもどうすることもできないやと思ったことを思い出しました。