「遺伝子検査のモラル 田口淳一、青木美保著 2023年」を読みました。ゲノム情報に関して今どうなっているのかの知識を得る目的で読みました。2003年とも言われるヒトゲノム解析終了後に、その次のステップとして、これらのデータの活用や、新しく生まれた技術を活用して色々行われている中で、その蓄積された研究成果を使っての、未来の病気の罹りやすさや、遺伝子が関連する病気の遺伝子が親から受け継がれているかの、遺伝子診断があるかと思います。この本は、読んでいくと、この分野の教科書のような作りになっていて、章ごとに課題というか質問が出されて、それに答えるような形式になっています。
そもそもが、診断ではどのあたりまでの確証が得られるものなのかといったところや、その結果の取り扱い方として、専門家の関与がどうあるべきか、またこの遺伝子診断の結果を使う人たち、本人から始まり、家族、保険関係、医療関係、など広い観点でまとめられていました。文字として理屈のみで考えるとサラッと読めるのですが、色々な線引きが難しいところについても、現場に長年関わっている経験をもとにしつつ、中立的な教科書的な感じで書かれていて興味深く読めました。
遺伝に関しては、「言ってはいけないー残酷すぎる真実ー 橘玲著 2016年」をはじめとして、個々人の遺伝による影響が結構あることを読んだり、近未来もののアニメとして「APPLESEED 士郎正宗原作 2004年」などでは、遺伝子を改変したバイオロイドが登場人物として出てくるものがあったりしますが、遺伝子に対しては、10年後20年後にどのようになっているのか興味深い分野だと思いますが、この本では今現在すでに実現している技術に対しての実際にどのような問題意識を持って対応しているのかについてリアルな情報を得ることができました。