砥草(とくさ)というものをご存じでしょうか。たまに住宅の庭先に植えられているのを見かけますが、ちょっと見た目が変わっていて高さ50センチぐらいの濃い緑色の茎だけ植物です。この植物の茎を切り取って乾燥したものが、ちょうど紙やすりのように使えて便利だということをご紹介します。
自宅の洗面所のゴム栓をつなぐ鎖が切れてしまったので、取り替えるパーツをネットで購入しました。届いたところでそれを見つけた子供が自分が取り付けたいと言いだし、奥さんが手伝うというかほとんどすべて取り付けていました。鎖のパーツを取り外した後の洗面台の水垢の汚れは雑巾では落ちず、「どこかに激落ちくんない?」と探しはじめした。
「そういえばこんなのがあるよ」と、砥草(とくさ)の茎を乾燥したものを渡しました。「なにこれ?」というので、簡単に説明して使ってもらったところ、水垢もさっと落とすことができ驚かれ、「あれ、意外と知られていないんだ。」ということが分かりました。
使い方は簡単で、茎を切り取りあらかじめ乾燥させます。濃い緑色から白っぽくなったものは引っ張ると5、6センチぐらいの節のようなところで取れるので、これを指でつぶして平らにして磨きたいところをごしごしこすって使います。
使い心地は市販の紙やすりよりはあたりは柔らかく、耐久性もそもそも草なのでそれほどありません。包丁にこびりついた汚れや錆を取るのに最適で、金属部分にキズをつけずに取ることができます。
そもそも昔は、桐のタンスを作る職人がこの砥草を湯気などで柔らかくして板に貼り付けて使うケースもあったようです。
これを知ったのは自分が小学生の頃で40年ほど前に父に教えてもらったことなのですが、工具を入れておくケースに、数十年前に採集したものがたまたま見つかったので、こうしてまとめてみました。