こんにちは naka です。
「運動しても痩せないのはなぜか」をandroid のtalk backで耳読した感想です。
海外でベストセラーになったものの翻訳した本にハズレは少ないと言われますが、この本もやはり面白く、それなりに分量がありましたがあっという間に聴き終えることができました。
これまで幸いなことに、それほど太りすぎを気にしたことがなかったのですが、タイトルが気になったこともあり、購入して耳読しました。
著者のハーマン・ポンツァー氏は、デューク大学人類進化学准教授という肩書きの方です。最近こうした人類の進化に関する本が面白く感じています。ヒトゲノム解析も終わり、ゲノム解析がかなり一般的になったこともあってか、人の祖先に関する研究も遺伝子を使って解析されることで、はっきりすることが多くなっているようです。
元々運動しても痩せないというのは実はそれほど不思議には思っておらず、食事が取れないぐらいに体調が悪くなるほどやりこめば一時的には痩せるだろうけれども、運動により脂肪が筋肉に変わるだけで、その分骨が丈夫になってかえって重くなったりするのではと思っていました。
この本は、こうした漠然とした自分の考えていたことを、1冊の本としてきちっと実験によるエビデンスも交えて説明がされたのでスッキリしました。
この本の著者は、現在でも狩猟採集で生きるハッザ族を研究対象として長年観察することで、狩猟採集による生活に対する誤解もいくつか指摘していて興味深いです。狩猟で1日当たり10km以上は歩くハッザ族と、先進国のデスクワーカーの1日の消費カロリーが体重当たりで見ると変わらないというのが不思議なところとしてありました。
運動を行ってもそれほど体重が変わらない、より正確には、一時的に体重は減るが、また長い期間で見ると結局元に戻ったり、場合によってはより増えてしまうということを、この著者は、代謝で得られたエネルギーの振り分け先が緻密にコントロールされていることによるものとしていました。ダイエットは、人体にとっては飢餓状態にあたるもので、代謝をコントロールしてエネルギーの振り分け先を飢餓モードにするとともに、また食べる量が増えた場合には、これまでの飢餓の経験から余計に溜め込むようになり、これがリバウンドとなるということでした。確かによく野生の動物の生態のテレビ番組を見た時に、野生のチーターが狩りに失敗したりしてお腹を空かせている様子がありますが、人も、先進国に生まれれば、一応ほぼ食料に困ることは無い状態となりましたが、数百年から数万年前では、この野生のチーターとあまり変わらない生活をしていて、空腹あるいは飢餓状態に対して、体内でエネルギーの使い方をより生き抜きやすく振り分けられるように進化してきているのだと思いました。
あと、ちょっと興味深かったのは、エネルギーの振り分け先としては、生殖に関わるところや免疫に関わるところなど、これまで具体的にイメージしていなかったところが文字化されていて面白かったです。