「サピエンス日本上陸 3万年前の大航海」audibleで聞きました。
audibleアプリで面白そうなものを探していたところ、少し前に「サピエンス全史」を読んでかなり面白かったので、このタイトルからもそうした内容なのではと思ってダウンロードしたところ、全く違った内容でした。普段、こうした本を買う事も読むことも無いのですが、サブスクの面白いところで、何となく気になって聞き始め最後まで聞き通すことができました。
3万年前に、大陸から日本へ人の移動がどのように行われたのかについて、台湾から、日本列島の一番近くの島までを当時作ったと思われる船を作り、実際に人が手で作り、漕いで行き可能かを実証するまでのノンフィクションです。
太平洋を一人で渡る冒険のようなものをイメージしましたが、最新の機材を使うのではなく、当時使ったであろう道具や材料を使って人力で船をつくるというのがポイントで、プロジェクトの立ち上げから、予算の獲得をはじめ、失敗の数々など、この本を読むだけでもその大変さに疲労を感じるほどです。
このプロジェクトでは、船の漕ぎ手や船を作る人を専門家も含めて結構ボランティアで集めたりしているのですが、確かにそうしたプロジェクトに参加できる機会があれば、自分の年齢・技術・体力があれば参加してみてくなります。
まず出発地とした台湾に生えている草を使って船を作ってチャレンジしますが、少し沖に出たところで船がダメになってしまいます。そうしていくつかの試していく中で、途中に予算がなく、クラウドファンディングで資金を集めたりと、実際に試す以前の努力も必要であったりと、興味深く聞き続けることができました。
船を作るのに並行して、目的地の小さな島が実際に台湾から目視で確認できるのか確認もしています。見えるであろう場所の情報を集めたりして、実際に現地へ行き確認することも丁寧に行っています。
「サピエンス全史」や「銃、病原菌、伝染病」といった文化人類学の本を読むとホモ・サピエンスが大陸から海を渡り島へと広がっていく様子が興味深く書かれていますが、実際にその移動が可能であったのかを実証するのは何かすごくワクワクすることで、ぶっ通しで終わりまで聞き続けてしまいました。
この本の著者の渡部陽介氏は国立科学博物館 人類研究部人類史研究グループ長という肩書き(amazonより)ですが、キリキリと結果を求めていくのとは違い、その途中の失敗の過程も楽しんで進めている雰囲気が伝わってくる楽しい本でした。