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「何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造 太田肇著 2022年」audible感想 No. 61

「何もしないほうが得な日本 社会に広がる「消極的利己主義」の構造」をaudibleで聞きました。

著者の太田肇氏はで、専門は組織論、組織社会学者の同志社大学政策学部教授(wikipediaより)です。

「何もしない」ことが一番合理的であるという今の日本の雰囲気をいくつかの例を挙げつつまとめられています。本書の冒頭で、高校野球の開会式の途中で倒れた生徒に対して、周りの人がすぐに介助に当たらなかったことについて異様だったとしているところから始まっていきます。おそらく自分も仮にその場にいれば、すぐには動かなかったと思います。

コロナ下での自粛下で、自治体や学校主催のイベントをどんどん中止してしまう流れや、学校の中で発言しないなど目立たないようにする人の割合の高いこと、社会人になっても会社の中でリスクをとってアイデアを上げていく事をしない、また能力のあることをあえてアピールしないでいるといった、ことをアンケート結果などから明らかにするとともに、その心理について日本人に特有の同調圧力の強さに加えて、SNSの発達により、出る杭にならないようにするというようなことが起こりやすいことを指摘しています。

確かに自分の日頃の行動をみると、「何もしない」で済むならそれに越したことはないと、思ってしまうことも結構あるかもと思います。身に覚えも結構あるかもと思いました。

本文中で、心にささったのは、企業の終身雇用の文化では、若い頃は業務量と給与の関係が損する形となっていて、45歳を境に逆転していくということでした。また少し前に話題になった、経団連会長の45歳定年への言及について、今まで終身雇用でやってきて損をさせておいてそうした話をするのは反発があるのも当然というものがありました。

自分は50代ということで、この話の中では逆転後になるのですがお荷物になってしまっているのだろうかとちょっと暗い気持ちになりました。

このまま今の仕事にしがみつきたいと思ってしまう50代の自分や、もっと若い世代との意識のギャップが相当あることを改めて感じました。とりあえず、今後、職場での自分と異なる世代の人と話す機会を今まで以上に大事にしたいと思いました。

この本の最後の章では、こうした状況に対してどうすべきか、という回答にあたるものが書かれています。閉鎖的な組織から、オープンに人材を集める形にする。ややもすると罰ゲームのような位置づけになってしまう、PTAの役なども、ボランティアのような希望する人のみにするような取り組みを上げていました。要するに風通しを良くするというようなイメージなのかなと思いました。

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naka
50代男のサラリーマンです。日々試したこと、読んだ本の感想や思ったことを書いています。

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