「うんち学入門」をaudibleで聞いたのでその感想です。
著者の増田隆一氏は北海道大学教授で動物学が専門ということです。(wikiより)
この本は、世間のマイナスイメージで自信を無くしている「うんち君」と、妙に知識豊富な「ミエレバさん」との会話形式で進んでいる本で、「うんち」が重要であることを、生物学の様々な分野から考察されていきます。
あと書きに、この本を執筆するにあたり、自分の専門とは異なる他分野の専門家ともディスカッションを行ったとあります。
audibleで聞いていくと、生化学、分類学、遺伝子工学、環境科学、生態学など次々と話しが展開していき、一気に聴き終えました。
いくつか面白く読後に頭に残ったところがあります。その一つとして、進化の初期の生物では、食べるところと排出するところが一緒のものがあり、そこから食べる口と排出する肛門に別れ、より効率化されていくと捕食するのに口が前、肛門が後ろの形態に進化が進んでいくという解釈はこれまで知らなかったことで、確かにそのように変化しているなあと納得しました。
また、生態学に関する話は著者の専門ということもあるのか、例も面白く、うんちの匂いについて、縄張りを示したり、逆にうんちを隠すことで獲物に見つからないようにしたりと、場合によって使い分けられている話などは面白く読めました。
あと、最近の技術なのか、うんちに含まれる消化管の細胞のDNAによるPCRで個体を識別でき、それにより一定範囲の狸の個体数を把握できるということで、同じ地域だと、血縁関係にある動物をそれぞれ個体識別できるところなどが興味深かったです。
本書の最後の方では、口から肛門までの消化管の中は、体として考えれば内側とも言えるけど、様々な微生物がいたり、消化酵素などば分泌されるところとしては外部としても考えられる「内なる外部環境」という表現はなるほどと思いました。
普段、何気なく接している毎日自分のうんちですが、そこから広がる様々な世界が楽しく感じながら聴くことができました。