「野菜は小さい方を選びなさい」をaudibleで聞きました。
著者は、農業を営んでいる方で、昔は都会でIT企業に勤めていたということです。
最初にこの本のタイトルを見た時には、損して得を取るみたいな自己啓発系の本かと思っていたのですが、audibleで聞き始めると、まさにタイトルのままの内容で、野菜を買う時には小ぶりなものを選ぶべき、という内容でした。
無農薬、無耕起、無除草剤、無肥料といった無い無い尽くしで農業を行っているということで、そうすることの理由が本の前半に分かりやすく説明されていました。タネも、一般的に売られているF1の雑種強勢のものでなくで、自分で種取りも行うという徹底ぶりです。
その理屈も、説得力のあるもので、興味深く読むことができました。自分の実家は地方の兼業農家であり、昔から農業は身近に感じてきています。また大学も生物系で、作物学も少し勉強したことがあることから、教科書的な農産物の作り方は詳しくは忘れましたが、なんとなく理屈としては理解しているつもりですが、そうした自分から見ても確かになるほどと思いました。ただ、聞いている途中で疑問に思ったのは、無肥料で作物を作り続けたら、その土地で作られた野菜を収穫し続けると、本来の自然では一つの地域では作物の収穫のような有機物を大量に持ち出すことはなく、同じ場所の中で循環していくのとは違うのではと思ったのですが、肥料の定義が、化学肥料や、安全性に疑問のある有機肥料はダメだけれども、落ち葉やタネカスなどはOKで、これを畑に入れてやり、土壌中の微生物による分解が進むことで、栄養分などの供給を行うということらしいので納得しました。
本の後半に、元は畑でない土地やプランターでの、著者の推奨する野菜作りのやり方が説明されていますが、その中で落ち葉や種かすを加えています。
このaudibleを読んでみようと思った理由として、近い将来に実家に戻ることがあった場合、なるべく手をかけないで畑を維持するやり方として、この考え方が使えるのではないかと思ったことがあります。一通り聞いてみた感想としては、この本だけではちょっと不十分で、もっと色々関連する本を読んでみる必要がありそうです。
この本全体を通して感じられるのは、朗読した方の読み方の影響もあるのかもしれませんが、文章が熱いです。特に後半は作物への熱い思いが溢れているのが伝わってきました。こうした熱い思いを持って作られた農産物は素晴らしいものになるのだろうな想像しました。
ただ、遺伝子組み換え作物、農薬、化学肥料をことのほか嫌っている姿勢は、ちょっと行き過ぎにも感じました。自分は新しい技術は興味を持って見ているところもあり、色々な考え方でそれぞれ試していけば面白いと思っています。
一般的な農業的な考え方として、農薬を使う時には、付近の農家ともタイミングを合わせることで、一気に害虫などを駆除しようというものがあります。(数十年前の教科書の考え方ですが、今でもそれほど変わらないと思います。)それを守らないで害虫などが多く残ってしまうとまたそこから被害が広まってしまうという理由からです。この考え方からすると、無農薬を行うこうした農家が隣り合っていると迷惑に感じてしまうし、トラブルになってしまうこともあるように思います。ただ、現実として、今は耕作放棄地も多くあまり関係ないのかもしれません。
もう少し関連する本を読んでみようと思いました。
画像は、自宅で栽培しているパセリの花です。