こんにちは naka です。
岩波科学ライブラリーの「ニワトリ愛を独り占めにした鳥」がkindle unlimitedにあり、耳読したのでその感想です。
著者の遠山秀紀氏は、大学教授を経て東京大学総合研究博物館教授の肩書きで、専門は獣医学でということですが、生物の解剖などを数多くされている方のようです。様々な品種が作られているニワトリについて、その系統を遺伝子解析で行う手法についてかなり否定的に書かれているのがとても印象に残りました。
本の構成が独特というか、本の最初はまさに家畜として作成されたニワトリに求められる性能について説明されています。鶏肉を効率的に供給する生き物としてどう飼われているのか。卵を効率的に得るのにどういった性能が求められ、どのように飼われているのかなど、淡々と書かれています。
次の章からは、そのルーツとなる野生の鶏(赤色野鶏)を探しにいく話や、その昔の家畜化される過程の考察、そして後半は、世界の家畜用だけでなく、闘鶏や鳴き声・形を楽しむための鶏の品種名やその文化的な背景について書かれています。
自分の実家は地方の兼業農家であり、特に中学生ぐらいまでは、家で鶏を飼っていてそこで産まれた卵を食べていました。小学生より前には濃い茶色のニワトリのチャボが飼われていた微かな記憶があり、当時の記憶を懐かしく思い出しながら読むことができました。
自分のスマホで見るyoutubeのおすすめに、ペットとして飼っているニワトリの動画が出てきて、体色や模様などがとても綺麗で様々な品種があるのにびっくりした記憶がありますが、この本でも、これでもかという感じで様々な品種が紹介されています。
印象に残ったのは、日本でニワトリの育種が盛んになったのは江戸時代の戦争のない平和な時代になって以降というところです。
「」では、世界では、牛、豚、ニワトリなど家畜化に適した動物は数少なく、そうした家畜が伝わったかどうかが、文明の発展にも大きく影響していると書かれていたかと思います。ニワトリは他の家畜と比べて、ちょっとしたケージですぐ運べたり、1羽あたりの餌も少なく、それを飼うハードルがかなり低いという特徴があるとのことです。
一方この本では、ニワトリのルーツにあたる赤色野鶏があまりにも家畜に向かない性質であり、一体どのような経緯を経て家畜として飼い慣らされたのかについても本の中でまとめられています。あくまで自分の印象として、犬(元はオオカミ)と比べて人間の生活にペットや家畜として入り込んでくるのは大変だったのではと思いますが、案外突然変異などであっさり家畜化されたのだろうか、など想像が広がりました。