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「経済で読み解く日本史 江戸時代 上念司著 2019年」読後感想 No.129

「経済で読み解く日本史 江戸時代」をandroid の読み上げ機能で耳読したので、その感想です。

この本は、著者の上念司氏の全6冊のシリーズのうちの古い時代からでは、「室町時代・戦国時代」「安土桃山時代」の次の3冊目になります。

これまで前の時代の2冊を読んで、これまでの歴史のイメージがだいぶ変わりましたが、今回の江戸時代でも、同じく認識がだいぶ変わりました。

江戸時代のイメージですが、水戸黄門や暴れん坊将軍のテレビの時代劇や、20代の時に大ハマりして、池波正太郎、藤沢周平、横山光輝などの時代小説での雰囲気というかです。どちらかというと、農民は一部を除くとそれほど裕福ではなく、商家はそこそこ儲かっていて、武士は余り羽振りが良くないといったぼんやりとしたものでした。

この本では、江戸時代は、新しいエネルギーが開発されない制約の中では、もっとも発展した時代ということでした。経済の仕組みとしては、先物取引や物流の発達、商品作物の栽培が活発となるなど発展していたことを改めて認識することができました。当時、周辺のアジア諸国は、欧米の植民地化が進んでいましたが、そうした中でも鎖国を継続できた時代ということです。

徳川幕府の各将軍の治世を読んでいくと、何か今の世界各国の貨幣の供給のコントロールに通じる理屈が少し理解できたように思います。自分が学生の時には、大判の金の含有量がどんどん少なくなっていくのが、歴史の副読本の図にあった記憶がありますが、当時は状況が悪化していくばかりのように思っていましたが、それが悪いわけではなく、こうして貨幣を供給することで景気をよくする効果により、元禄文化や化政文化につながったということでした。

また、自分のこれまで持っていた江戸時代の印象が今一つ悪いというのについても、明治維新をはじめとする以後の時代の正当性を強調する上で、そうした説明がされたのではというのも考察されています。

また、この本では、江戸時代の特徴として、突出した一大名がとして、徳川幕府は、すべての地域から税金(年貢)を徴収していたわけではなく、突出してはいるものの大名の一人の立場で、日本全体を治める形となっていたことがあげられていました。その無理な形のままではもう、より発展した欧米に対抗できなくなったところで明治維新が起きて次の時代になっていったということです。

自分の歴史への興味を振り返りますと、10代の時はNHKの大河ドラマを見るぐらいで(当時は家族全員で観るのが習慣でした。)、歴史にはほぼ興味が無かったのが、20代になって歴史小説にハマったのですがそれが収まると40代後半の最近になるまでほぼ歴史には興味がないままきました。きっかけは、「born to run」という本のホモ・サピエンスの狩猟に関する記述に興味を持つようになり、それから「サピエンス全史」を読んで歴史全般への興味が高まり、老後の経済的・健康面の不安から関連する本を読む中で歴史への興味も持続していて今に至ります。

次の「明治・大正時代」はより現在に近くなり、亡くなった祖父母の生まれた時代であり、「江戸時代」までの遠い昔のイメージとは異なり、より生々しく感じてきますが、読んでいきたいと思います。

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naka
50代男のサラリーマンです。日々試したこと、読んだ本の感想や思ったことを書いています。

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