「安倍晋三回顧録」を読み上げ機能で耳読しました。
ショッキングな事件で亡くなられた安倍晋三元首相の回顧録です。
こうした政治家の回顧録というのは海外ではよくあるようですが、これまでそうしたジャンルは全く読んだことありませんでした。が、なんとなく気になって購入、読みました。
上念司氏の「経済で読み解く日本史 平成時代」を読んで、読みたくなり購入したのでした。
文章は、実際に当事者の持つ緊張感が伝わって来て面白く、読み始めると、ちょうど少し時間もあったので一気に読み終わってしまいました。平成時代の歴史の本を何か読んで、あまり時間をおかずに読んだのがよかったと思いました。
主要な国の大統領や、首相とのやり取りの中での印象や感想も面白いです。消費税率についての財務省とのやりとりや、韓国との駆け引き、ロシアのプーチンとの北方四島に関するやりとり、TPPの話なども興味深いです。
後、特に興味深かったのは、オバマ大統領、トランプ大統領といった米大統領とのやり取りや人の印象に関するものです。オバマ大統領については、当時は何か物事がうまくいかないなあと、感じていましたが、やはり日本にはそれほどよい印象を持たれなかったというか、計算高いというかやりにくさがあったのが、文面から感じました。一方で、トランプ大統領については、最初にフライング気味に会いに行ったりしたのが話題になりましたが、電話会談が長時間におよんだことや、ゴルフの話題など、良好な関係性でありながらも、ビジネスマン然としたところの軌道修正を試みたりといろいろな苦労のエピソードが読めたのがよかったです。
最後に一通り読んで改めてすごいと感じたのは、自分の選挙について全く言及されていないことです。質問者からしてそもそもそうした自身の選挙を戦うことについて聞いていないということもあるかと思いますが、自分が落選することを全く心配することなく、エネルギーを他へ回し続けることができたので、ここまでの実績となったのかなと思いました。さらには、ここまでの政治家をもってしてもその目標であったであろう憲法改正に至らなかったというのが、なんとも言えない気持ちになりました。これ以上の政治家が、憲法改正がこれ以上の支持を集めることで達成できるというハードルであるということは、相当気持ちの悪い状況にならないと実現しないことということなのかなと想像しました。
回顧録という分野は今まで考えたこともなかったのですが、歴史の本を読んだときに、その時代の関係者の回顧録を読むというのが面白そうです。