読書

「進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語 千葉聡著 2020年」の読後感想 No.150

「進化のからくり 現代のダーウィンたちの物語」をandroidの読み上げ機能で耳読した感想です。

著者の千葉聡氏は、大学教授で、巻貝の進化生物学、生態学を研究されている方です。

この本では、最初に、ダーウィンに関して有名な鳥のフィンチに関する話題が例外的にあるものの、その他は、著者の研究対象としている巻貝の生態や進化に関する話題が集められています。
単に研究の成果がまとめられているだけでなく、その成果を出している研究者についても詳しく書かれているのが面白く読めました。

生物系大学出身者として振り返ると、4年生になって志望する研究室を選択して、分析化学や、生態学、分子生物学などに分かれていく中で、生態学の研究室へ行った人は、この本に出てくる学生のような、個性的な人が多かったように思います。

巻貝というと、あまり実生活でも接点が少なかったりしますが、フィールドワークによって集めた巻貝のサンプルからゲノム解析などを行って調べていくのは、文章を読んでいてもワクワクしました。

ただ難しいのは、その地域に固有の種や特徴を調べるのには、人が立ち入らない(立ち入れない)場所が望ましいということです。誰かが他の地域のものを放流したり逃してしまったりすると、その地域特有の進化の状態を観察できないということです。

5万年分の地層が観察できた国内の湖(三日月湖)の湖底の研究の本を少し前に読み、フィールドワークによる研究は面白そうだなと思う一方で、いいサンプルが得られ、その解釈がうまくできるかの運の要素もあるところが、読み物として面白いです。

 

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naka
50代男のサラリーマンです。日々試したこと、読んだ本の感想や思ったことを書いています。

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