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「平均思考は捨てなさい─出る杭を伸ばす個の科学  早川書房 トッド ローズ 著 小坂恵理訳 2017年」読後感想 No.134

「平均思考は捨てなさい──出る杭を伸ばす個の科学」を読み上げ機能で耳読した感想です。

著者のトッド・ローズは、大学に勤める心理学者ということです。
本の冒頭では、大戦時代に墜落が頻発する戦闘機の原因として、パイロットの平均的なサイズを元にした座席が原因であったとして、調節可能にしたところ墜落が激減したということ、女性の体のいくつものサイズを多くの人で測定して平均をとり、その平均に最も近い人を探したが該当する人はほとんど見つからなかったという話で始まり、何かにつけ平均をとって比較することの問題点を考えさせる本です。

読んでいて最初に気になったのは、「エルゴード性のスイッチ」で、前に読んでいたナシーム・ニコラス・タレブの本でもキーワードとしてあったエルゴード性です。その時にはよくわからないまま読み進めてしまいましたが、この本ではエルゴード性についての説明があり一応理解できました。

本文より「(1)グループのすべてのメンバーが同一である。(2)グループのすべてのメンバーが将来も同じである。の2つの条件が当てはまる場合には集団の平均使って個人の予測をしても大丈夫」というものです。人間がエルゴード的でないことは分かりつつもつい平均を使ってしまうことを「エルゴード的スイッチ」として罠にかかってスイッチが入ってしまうとしていました。

この本では、一般に思っている以上に個人の差は大きいということが強く主張されていて、なるほどと思うこともありました。子育てをしていて、ついつい一般的、つまり平均を考えてしまっているなあと、反省することしきりです。

本の後半では、教育や、企業における人材育成に関する話題がでてきて、各個人もそうした自分の個性というか違い、傾向を知る努力をして、自分の勉強やキャリアを考えるべきであるし、企業もそうした個性を理解した対応が大切という内容でした。

この本ではいくつかの企業が紹介されています。その中でコストコが出てきます。近所のコストコへは、たまに行くのですが、働く人の雰囲気が少し独特だなあと感じていたのですが、従業員を大切にする企業として知られているということで、納得するところがありました。

何というか周りに対しての理解というか、個性を知る努力をもっともっとすることで面白い発見がいろいろあるのではと思うのと、自分についても、自分の個性や特性を加味して物事への対処を続けていこうと思うのでした。

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naka
50代男のサラリーマンです。日々試したこと、読んだ本の感想や思ったことを書いています。

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